高齢者歯科
80歳で20本以上自分の歯を有する人の割合は約4人に1人です。しかし、平均現在歯数を調べると、60~64歳は21.3本ですが、70~64歳になると15.2本まで減っています。年をとるごとに歯を失っていることがわかります。
歯を失う原因で最も多いのは歯周病、続いて虫歯です。ご自身の歯を1本でも多く残すには、予防がとても大切です。
高齢者のお口の環境
歯と歯茎の経年劣化
長年使ってきて歯のエナメル質がすり減っていたり、歯茎がやせて根本が現れていたりするため、虫歯になりやすいです。また、糖尿病にかかっていると、歯周病のリスクが高まります。
ドライマウス (口腔乾燥症)
加齢による生理現象で唾液の分泌量が減ります。お薬を飲んでおられる方も多く、その副作用でドライマウスになることもあります。
唾液には、お口の中を綺麗にする抗菌作用がありますが、それが分泌されなくなると虫歯や歯周病のリスクがさらに高まってしまいます。
誤嚥性肺炎の危険性
日本人の死因の第3位は「肺炎」です。
高齢になると、食べ物をよく噛んで飲み込む機能が低下します。そして、口の中の汚れや唾液中の細菌が誤って気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を起こす恐れがあるのです。
すぎうら式高齢者歯科
高齢者予防歯科
日本人が歯を失う原因の第一位は「歯周病」、第二位が「虫歯」です。高齢になると、お口の中の環境の変化から虫歯や歯周病になりやすいといわれています。
将来にわたって自分の歯を使い続けるためには、定期的に歯科医の検診、メンテナンスを受けましょう。
自分の歯でしっかり噛んで食べることができれば、認知症の予防にもなり、見た目も若々しくなります。
歯と認知症の関係
東北大学の渡邊誠教授らの学術調査によると、歯の本数と認知症には関連があることがわかっています。噛むことで脳は刺激されますが、歯がなくなって歯の周辺の神経が失われると、脳が刺激されにくくなります。
歯科検診
高齢者に対しては、月に1回の検診をお勧めしています。
定期的に検診を受けて、メンテナンスをしましょう。
ご自身の歯を1本でも多く残すために、とても重要なことです。
年に1回の歯科人間ドックもお勧めです。
口腔ケア
歯科医師が行った検診の結果をもとに、歯科衛生士が歯のクリーニングを行います。
口腔衛生指導
ご自宅でのセルフケアを指導します。
誤嚥性肺炎の予防のためには、歯だけでなく舌の汚れも落として、お口の中を清潔にすることが重要です。
リハビリ
嚥下機能が低下している場合は、言語聴覚士が「筋訓練」や「摂食嚥下訓練」などのリハビリを行います。
筋訓練
お口の周りの筋肉を鍛えるリハビリです。摂食嚥下訓練
自分で食べて飲み込む練習をします。
栄養指導
低体重の人に対して適正な栄養量をお伝えし、どんなものを食べたらよいかを、管理栄養士が指導します。誤嚥リスクのある患者様に対しては、正しい食形態を指導しています。
高齢者治療歯科
高齢になると歯を失う人が多いのが事実です。失われた歯を補うために、入れ歯やインプラントという治療があります。
また、ご高齢の方は何かしらの病気を抱えている人が多いです。お薬の副作用によるドライマウスも少なくありません。当院では、高齢者歯科=有病者歯科という認識で治療にあたります。
入れ歯
人工の義歯を製作して、虫歯や歯周病で歯を抜いたり歯が抜けたりした部分に装着します。
歯が1本でも残っていれば「部分入れ歯」に、歯をすべて失ったときは「総入れ歯」になります。
様々な種類がありますので、ご予算やご要望、お口の中の状態に合わせて選びましょう。
インプラントとのちがい
長所
- インプラントは手術が必要ですが、入れ歯は手術がいりません。
- インプラントに比べると、比較的短期間で製作できます。
- インプラントに比べると安価です。医療保険が適用される入れ歯もあります。
短所
- インプラントに比べて噛む力や美しさは劣ります。
- 最初は違和感を覚えることがあります。そのうち慣れます。
- 入れ歯は経年劣化するため、調整や作り替えが必要です。
入れ歯の種類
保険適用の入れ歯は価格が安く、短期間で仕上がりますが、歯茎の部分がプラスチックでできており、目立ちます。また、食べ物の熱さ・冷たさは伝わりにくいです。
一方、保険適用ではないですが、審美性や機能性に優れた入れ歯もあります。
ノンクラスプデンチャー
金具を使わない入れ歯です。プラスチック製の義歯床で入れ歯を支えます。
パッと見ただけでは、入れ歯をしているかわからないほど、審美的に優れたものです。
非常に軽く柔らかいため、装着時の違和感が少ないといわれています。壊れにくく、メンテナンスしやすいのが特徴です。
マグネット入れ歯
歯根に磁石をつけ、磁力を利用して入れ歯を固定します。
歯にかかる負担が大幅に軽減され、壊れにくく、メンテナンスしやすいのが特徴です。
入れ歯製作の流れ
お口の状態や、入れ歯の種類によって異なりますが、だいたい1~3カ月で完成します。
- 検査・診察
患者様の悩みやご要望、ご予算を伺います。
レントゲンを撮影し、口の中を検査します。
残っている歯や顎の骨の状態、虫歯や歯周病の有無を確認します。 - 前処置
入れ歯治療の前に、虫歯や歯周病の治療をします。 - 模型製作
歯茎の型を取り、模型を作ります。 - 咬合床製作
入れ歯の原型である咬合床を作ります。 - 嚙み合わせの調整
咬合床を歯茎にはめて、嚙み合わせの位置を調整します。 - 入れ歯の設計
器械に模型と咬合床を取り付け、嚙み合わせを再現します。 - 入れ歯の試着
製作途中の入れ歯をはめて、調整します。 - 装着・最終調整
出来上がった入れ歯を装着してもらい、最終的な嚙み合わせの調整をします。 - メンテナンス
歯科衛生士によるメンテナンスを定期的に行います。
インプラント
虫歯や歯周病などで失ってしまった歯の代わりに、顎の骨に人工の歯根を埋め込んで、人工の歯を固定する治療です。自分自身の歯と変わらない見た目と機能を回復させることができます。
4,000本以上のインプラントの実績がある、インプラント専門医の原田先生が担当します。
ドライマウス治療
保湿剤でお口を潤すほか、洗口剤で口腔内を清潔にし、口臭や不快感を取り除きます。
歯科衛生士がマッサージを指導したり、言語聴覚士がリハビリを行ったりもしています。